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日常を豊かに

ストレスへの向き合い方

ストレスという言葉は日常的に使われています。ストレスが溜まると、イライラしたり怒ったり、落ち込んだり、眠れなくなったりするでしょう。しかし、ストレスとは一体何なのでしょうか?日常で「なんとなくもやもやするな」「疲れるな」「どのように立ち直ってよいのかわからないな」と思うときはあるでしょう。

 

本日はそんな日常で感じるストレスについて、理論から深堀をしていこうと思います。

 

この記事を読むと、ストレスとは何なのか、ストレス障害とはどのようなものなのか、その対処法までがわかります。

 

目次
1.ストレスとは何か
2.ストレスが生じるメカニズム
3.ストレス反応とは
4.ストレス反応は悪いものばかりなのか
5.ストレス障害とは
6.ストレスへの対処方法
7.ストレスに対する日常の備え
8.まとめ

 

1.ストレスとは何か

ストレスとは、主に「外部からの刺激に対する生体内(脳など)の反応」といわれています。この外部からの刺激を「ストレッサー」といい、いくつかの種類に分類できます。これは、ハンス・セリエという学者が1936年に英国科学誌「ネイチャー」に発表した「ストレス学説」によるもので、ストレッサーによる生体反応が明らかにされています。以下にストレッサーの種類をまとめてみました。

 

ストレッサーの種類
・物理的ストレッサー:温度、音、光など
・化学的ストレッサー:化学物質、公害、金属、アルコール、タバコ、食品添加物など
・生物的ストレッサー:免疫反応を起こす刺激、花粉、ウイルス、細菌、疾病など
・心理・社会的ストレッサー:怒り、不安、悲しみなど

心理的・社会的ストレッサーに関しては、仕事や家庭などの社会生活において生じ、人間関係や社会的立場などが影響します。日常でストレスと呼ばれるものの多くは、このストレッサーに該当する場合が多いです。

 

このように、日常のさまざまな刺激が私たちのストレスに関係していることがわかります。では、これらの刺激を受けた後に私たちの身体はどのような反応をするのでしょうか。ストレスが生じるメカニズムについてみていきましょう。

 

2.ストレスが生じるメカニズム

人に何らかの刺激が加わると脳がその刺激を認知し、さまざまな「感情」が生まれます。感情が生じた結果、脳では「ストレス反応」が生じ、筋肉系、血管系、内分泌系、自律神経系などの「標的器官」にそれぞれ反応を伝達させます。各標的器官はそれぞれ反応を起こし、さまざまな身体症状が出現します。これがストレスとその症状出現までの大まかなメカニズムです。

 

脳内の反応に関しては、特に脳内の扁桃体という部分が関係しており、感情や情動のコントロールを司っています。扁桃体は、刺激が自身にとって快なのか不快なのかを判断しています。

 

刺激の認知の仕方やそこから生じる感情については、個人個人で全く別物となります。なぜかというと、人は持っている知識や経験、価値観や生まれ育った環境,文化はそれぞれ異なっており、同じ刺激でもどのように解釈するのかは人それぞれだからです。

 

〈参考〉
[用語の定義]
ストレッサーとは:ストレスを引き起こす外部刺激。
ストレス反応とは:ストレッサーに対する生体内反応。
ストレスとは:ストレス反応がホメオスタシス(生体恒常性)を乱すような状態。
ストレス障害とは:長期間にわたる過度のストレスが身体や心に悪影響を及ぼす状態。

 

3.ストレス反応とは?

ストレス反応とは、ストレッサーに対する生体内反応です。このストレス反応は、一般的には短期間で元の状態に戻るものです。ストレス反応にはどのような種類があるのでしょうか。

 

怒り、恐怖、悲哀
これらは突発的に生じ、比較的短期間で終息します。大半の人に普通に想起される感情です。また、交通事故などの強い刺激ではより強い感情が生じます。

 

不安
日々の人間関係や環境による刺激で生じます。慢性的で持続的なのが特徴です。

 

イライラする、マンネリ化
騒音や生活音など、単調で単一な刺激におり生じることが特徴です。

 

不快
多忙な仕事、知人とのトラブル、育児の煩わしさ、不快な報道など生活場面で嫌な思いをすることから生じます。本人の意思に関係なく勝手に入ってくる受動的な刺激であることが特徴的です。

 

このようにストレス反応は多く存在し、基本的に自身にとってマイナスとなる刺激により引き起こされることが多いです。しかしこれ以外にも「興奮状態」という反応もあります。これは非日常的な状況で引き起こされるもので、必ずしもマイナスな刺激によるものではありません。

 

4.ストレス反応は悪いものばかりなのか!?

ストレス反応は私達に悪い影響ばかりを及ぼすのでしょうか?そんなことはありません。確かに悪いイメージがありますが、それは上記のような自身にとってマイナスな刺激を受けた場合です。

刺激には自身にとってプラスとなるものも存在します。では、どのような刺激がプラスとなるのでしょうか。

 

大きく分けて2種類存在し、1つ目は欲動に関する5つの欲求を獲得するための行動から得られる刺激、2つ目は感情獲得欲求に基づく行動から得られる刺激です。

 

欲動に関する5つの欲求とは、食欲、性欲、睡眠欲、行動欲、生命欲です。感情獲得欲求とは、美しい、美味しい、面白い、心地よい、達成感、満足感、充実感、幸福感などです。これら2つの欲求は、生きていく上で必要な本能的なものです。

 

これらに基づく行動によって得られる刺激は私たちにとってプラスな刺激となります。これらの刺激からは、「心地よい」という感情を得ることができるでしょう。しかし、短期間で消失してしまい、自分で日々能動的に動かないと得ることができない刺激でもあります。

 

このようにストレスには私たちにとってプラスな刺激になるものとマイナスな刺激になるものがあることがわかります。

 

5.ストレス障害とは

著しく強いストレス刺激を受けたり、長期間にわたり慢性的な不快な刺激を受け続けると、元の状態に戻ることができなくなり、身体的な病気や精神的症状を引き起こします。これを「ストレス障害」と呼びます。ストレス障害とは、ストレス反応が非可逆的になった状態です。このストレス障害に陥ってしまうと、どのようなことが起こるのでしょうか。

 

フラッシュバック現象
辛い体験や怒り、悲しみ、不安などの感情やその場の光景が頭の中で反復再現される現象です。フラッシュバックにより過去の体験が繰り返されることになり、さらにそれがストレス反応を引き起こす悪循環となります。これは長期化することが特徴です。

 

回避的な行動
脳に刺激が加わらないように無意識のうちにあらゆる刺激を避けるようになります。ストレスの原因になる刺激はほとんどが受動的な刺激であるため、自分から回避するのは能動的なプラス刺激になります。その結果、受ける刺激は全てがマイナス刺激となり生活に楽しみがなくなります。刺激を受け入れたくなくなり、楽しみや興味を感じなくなり遊びや食事に誘われても断ってしまいます。よって、記名力が低下して忘れ物や勘違いが増えたり、コミュニュケーション能力が低下し言葉が出なくなったりします。自らの苦悩から逃れるため、他者に怒りの感情を向けたり、規則違反をしたりと反社会的行動に結びつく危険があります。

 

過敏状態
ストレス反応が起きると脳は興奮状態になります。繊細な刺激に過敏に反応してしまうのです。例えば、人の五感です。光に眩しさを感じたり、音が大きく聞こえたり、人の話を聞き続けられなくなったり、手足が物に触れたらピリピリしたり、生活臭が気になったりします。味の好みも変化します。このような過敏状態が続くと大きく疲労します。

 

自律神経系と副腎ホルモンの変化
興奮状態となると交感神経が優位となり、アドレナリンの作用が強くなります。慢性的なアドレナリンの増加は血管を収縮させて高血圧などの症状を引き起こします。また、副腎ホルモンであるコルチゾールを分泌しストレスを緩和しようとしますが、出続けると枯渇してしまい病気になる可能性が指摘されています。 ストレス障害の症状が出現したときは、脳の疲労が極限点に達した状態です。脳の疲労は最後まで自覚しにくいです。以下に、頻繁に認められる身体症状を引用したものを載せておきます。

 

頻繁に認められる身体症状(引用)

・消化器系の症状
 胃もたれ、胃痛、吐き気、嘔吐、下痢、喉の渇きなど

・呼吸器系の症状
 呼吸苦、胸の圧迫感など

・循環器系の症状
 頻脈、血圧上昇、冷え、ふらつき、めまい、耳鳴り、耳閉塞、不整脈、動悸など

・筋肉・骨格筋系の症状
 手足のしびれ、頭痛、肩こりなどその他の症状脱毛、微熱、眼瞼けいれんなど

・ストレスに強く左右される疾病
 不整脈帯状疱疹突発性難聴、偏頭痛、蕁麻疹、高血圧、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、喘息など、

 

6.ストレスへの対処方法

これまでさまざまなストレス反応とストレス障害について述べてきました。これらの原因となるストレッサーを排除することが出来れば快適に暮らせるでしょう。しかし、それが困難な場合も多く、解消できないから私達は日々悩んでいます。ストレス反応に対処したり、ストレス障害に陥ることを予防するためにはどのような方法があるのでしょうか。

 

ここでのポイントは、ストレッサーを排除するのではありません。ストレッサーに対していかに過剰に脳を反応させないか、いったん過剰に反応した脳をいかに鎮静化させるかということであり、いかにしてストレスと共存していくかということを考えていく必要があります。

 

・日々の刺激を避けない。
不快な刺激を受けると何をするのも億劫になってしまいます。

 

・まずは動くことが大事です。

仕事のストレスなどで潰れてしまう人の特徴は、休日に横になって休んでいることです。休日にダラダラしたり、二度寝や昼寝をして休んでしまうと、仕事のことが頭から離れずテンションが下がります。休日が終わっても仕事モードに入れずしんどい気持ちになるでしょう。身体の疲労回復は必要ですが、脳や体を全く使用せずに休ませることは効果的ではありません。

 

・自分からプラスな刺激を入れる。
刺激には自分にとってプラスになる刺激とマイナスになる刺激があります。基本的に自身にとってマイナスとなる刺激は受動的なものが多く、完全に除去することは困難です。従って、バランスをとるためには自分からプラスになる刺激を入れることが大切です。

 

・周辺の脳を活動させる。

普段仕事などで疲労している部分以外を能動的に使用していくことが大切です。具体的には自然の中を歩く、小説を読む、他者とのコミュニケーションなどがあげられます。

 

・ストレスから逃げない
マイナスな刺激でもウェルカムという気持ちを持つことが大切です。不味いものがあるから美味しいものがある。仕事が苦しいから休日の遊びが楽しい。マイナスがあるからプラスが生きる。そのようにポジティブに考えることで過剰反応を抑えることができます。

 

7.ストレスに対する日常の備え

体調管理
日々の規則正しい生活、バランスのよい食生活、適度な運動が不可欠です。健康な体と体力が強力な盾となります。

 

リズムのある生活を送る
仕事と休みのバランスが崩れたリズムのない生活を送っていると、覚醒と睡眠のバランスが崩れます。1日のリズム、1週間のリズムがきちんと保てていると、疲労防止になります。

 

生活にメリハリをつける
リズムをつけると同時に、生活がマンネリ化しないように変化をつける必要があります。マンネリ化とは同じ思考パターンや同じ動作を繰り返すことで、単調さが強調されることです。変化がないと新たな発想や気づきがありません。同じことの繰り返しは、安定と繋がり気持ちの緩みやたるみ、怠け、油断に繋がります。変化は自分でつけるものです。小さなことからでよいので、同じことの繰り返しにならないように過ごしてみましょう。

 

目標を持つ
目標をもって生活をしましょう。目指したいものやありたい姿をイメージしながら毎日過ごすと前向きになれます。

 

テンションの保持とモードの切り替え
何かに対して頑張るぞという気持ちを持つということで、前向きに闘争心が湧いてくるような状態です。しかし、同じテンションを長期間持続させることは困難です。テンションには波があるため、適度に自身でテンションを切り替える必要があります。1日の中で読書をする時間を作る、週末は仕事モードを切り替えてプライベートを心から楽しむなどどいったことです。テンションが下がると弱気になってしまいます。

 

生活に余白を作る(遊ぶ)
遊びという言葉があります。誰でも子供のころはたくさん遊んだでしょう。大人になっても友人と遊ぶことはあるでしょう。遊びには目的を伴わないことが特徴です。遊びは意味を持たないことに意味があります。生活の中で効率や機能などを考えず、意味のない無駄なことをすることでみえてくることがあるでしょう。

 

8.まとめ

私達の日々多くの刺激を受けて生活しています。生活しているだけで、様々な刺激が入ってきており、誰もが受動的にマイナスな刺激を受けることでしょう。ストレスを受け続け、管理を怠るとストラス障害に陥ってしまう可能性が高いです。従って私達は自身で能動的に動き、プラスの刺激を入れバランスをとることをしなければ安定した精神は保てません。これをストレス管理と呼び、自身が健康で幸福な生活を送るためには必須です。ストレスの良い部分は活かし、マイナスな部分を上手く打ち消しながら上手に付き合っていくことが大事です。